旋回したドラグ・ショベルと煙突との間に挟まれる

発生状況

 この災害は、ゴミ焼却施設の建設工事現場において型枠部材の運搬中に煙突とドラグ・ショベルとの間に挟まれて発生したものである。
 災害発生当日、ケーブル用配管の埋設工事と電気ケーブルの接続中継点となるマンホールの据付工事を請負った4 次下請の会社に所属する被災者は、土工作業員として他の3 名の作業者とともにドラグ・ショベルによる掘削作業に従事していた。
 被災者が、掘削箇所のならし作業を行っていたところ、近くで作業をしていた同僚の型枠工から「型枠に使用する木片を取ってきてくれ」と依頼されたので、ゴミ処理施設の煙突の近くにある木片を取りに行き、それを持って現場に戻るためにドラグ・ショベルと煙突との間を通り抜けようとした時、ドラグ・ショベルが旋回してきたため、被災者はドラグ・ショベルと煙突との間に挟まれ死亡した。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 車両系建設機械の稼働範囲で危険な区域への立入り禁止措置を行っていなかったこと
2 安全通路脇にセメント袋を積んだことにより、通路として利用しにくくなっていたこと
3 危険予知訓練(KYT) 等安全教育が不十分であったこと

対策

 この災害は、ゴミ焼却施設の建設工事現場において型枠部材の運搬中に煙突とドラグ・ショベルの間に挟まれたものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。
1 車両系建設機械が運行する場所等については、立入禁止の措置を徹底すること
2 建設機械との接触防止等に関する安全教育を徹底すること
3 安全通路を確保し、そこを通行するよう徹底すること
4 危険予知訓練(KYT) 等安全教育を実施すること
5 作業計画を作成し、これに基づき作業を行わせること

後退してきたダンプトラックにひかれて死亡

発生状況

本災害は、既存の高速道から引込線を建設する工事において、付近で清掃作業を行っていた被災者が、後進で走行してきたダンプトラックにひかれ、死亡に至ったものである。
 工事の内容は、高速道の外側の1車線を通行止めにし、新たに作る引込線の場所の整地、既設のヒューム管の撤去、ブロック擁壁の設置および新たなヒューム管の敷設を行うものであった。
 災害発生当日の朝、現場の状況の確認を行ったところ、既設の道路面と新たに設置するブロック擁壁の基礎コンクリートの間が、約4mにわたって約70cmの深さでくぼんでいたため、ダンプトラックで砂利を入れ、作業ヤードを確保することとした。
 朝の打合せの際、ダンプトラックでの作業は、規制が1車線だけでダンプトラックがすれ違えなかったため、ダンプトラック1台で砂利を積み、採石場と工事現場を往復するものと決められた。また、道路公団からの指示により一般車両と反対向きでの走行は禁止されていたため、高速道の車線をおよそ100m程度後退して走行することになった。
 被災者の災害発生当日の作業は、午前中は前日行っていたブロック擁壁の基礎コンクリートの型枠解体と片付けを行い、午後は道路上の掃除を行うこととされていた。
 当日の午後、被災者が規制された高速道上で清掃を始めたとき、ダンプトラックを用いての砂利の搬入が始まった。ダンプトラックは高速道への入り口の広くなったところで方向転換して、後退しながら高速道内に入ってきた。運転手は周囲に多くの機械が動いており、また、砂埃がすごかったのでダンプトラックのバックミラーだけでなく、運転席の窓から顔を出し、後方を確認しながらゆっくりと後退したが、被災者に気が付かなかったため、ダンプトラックの後方で清掃作業をしていた被災者がダンプトラックの左側後輪にひかれた。

原因

(1) ダンプトラックの誘導者が配置されていなかったこと。
(2) 周囲で建設機械が作業をしていたため、騒音により被災者にダンプトラックのバックブザーが聞き取れなかったこと。
(3) 被災者がダンプトラックの運転手の視界の死角に入ってしまったこと。

対策

(1) ダンプトラック等を用いて作業を行う際は、作業者とダンプトラックが接触することを避けるような作業計画をたて、関係する作業者に対して十分に周知すること。
(2) 車両系荷役運搬機械に接触することにより、作業者に危険が生ずる恐れがある場合には、立入り禁止の措置を講ずるか、誘導員を配置すること。
(3) 作業間の連絡調整を十分に行うこと。