新型コロナワクチンの接種指針改定

WHO=世界保健機関は、新型コロナウイルスワクチンの接種指針を改定しました。健康な成人や子どもには定期的な追加接種を「推奨しない」としています。

WHOが28日に発表した新たな指針では、新型コロナワクチンの対象者を接種の優先順に3つのグループに分類しています。

最も接種を優先すべき対象としては、高齢者・重い併存疾患がある成人・免疫不全の人・妊婦・医療従事者を挙げ、「6か月から12か月ごとの定期接種を推奨する」としました。

2番目のグループは健康な成人らで、1回の追加接種は推奨するものの、2回目以降は、公衆衛生上の効果が比較的低いとして、「推奨しない」としました。

3つ目の、生後6か月から17歳の健康な子どもについては、ワクチンは安全で効果はあるものの、感染したとしても負担が軽いことから、接種は費用対効果などにより国ごとに判断するよう勧めています。

小型移動式クレーンが転倒し、作業者がジブに押されて墜落

発生状況

 この災害は、桟橋上に設置した小型移動式クレーンで足場用単管の束を4m下の台船に下ろそうとしたときに発生した。
 災害発生当日、港湾工事を行うため、桟橋に停泊している台船上で単管足場の組立て作業を行っていた。桟橋から台船への足場部材の揚重作業は、桟橋上に設置した小型移動式クレーン(つり上げ荷重2.32t、4本のアウトリガーを有するクローラクレーンで、通称「カニクレーン」と呼ばれるもの)で行い、作業者A~Cの3人が作業を担当した。
 午前中は、Bが移動式クレーンを運転し、AとCが玉掛けを担当して足場部材を3回に分けて台船に下ろした。昼食後に行われた4回目の揚重作業は、Aが1人で行うことになり、単管18本(重量290kg)の束を玉掛けした後、移動式クレーンを運転して、つり荷を台船の真上の位置に持って行くためジブを旋回および起伏したところ、つり荷が桟橋上に置かれた資材カゴに引っ掛かった。そこで、Aは移動式クレーンの運転を停止し、移動式クレーンの傍らの運転位置を離れて資材カゴからつり荷を外そうとしたときに、移動式クレーンが横転したため、Aはジブに押されて桟橋から台船上に墜落した。
 移動式クレーンが横転したとき、アウトリガーの張り出し状態と作業半径から定格荷重は160kgであったが、つり荷は290kgと過荷重の状態であった。また、設置場所が狭かったため、左右のアウトリガーの張り出し状態が異なっていた。なお、この移動式クレーンのアウトリガーは4隅に設けられていて、張り出し方向と張り出し幅をそれぞれ3段階で調整できるようなっていた。
 さらに、Aは玉掛け技能講習を修了していたが、小型移動式クレーンを運転するための資格(移動式クレーン運転士免許又は小型移動式クレーン運転技能講習修了)は持っていなかった。

原因

 この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1 つり荷を移動中に過荷重になったこと
 移動式クレーンが横転したときのつり荷の重量は290kgであったが、アウトリガーの張り出し状態と作業半径から定格荷重は160kgであり、過荷重となっていた。さらに、アウトリガーの張り出し状態が左右で異なっていたため、横転しやすくなっていた。
2 資格がない者に移動式クレーンを運転させたこと
 小型移動式クレーンを運転するための資格の有無を確認しないまま、資格がない者に小型移動式クレーンを運転させた。
3 1人作業であったこと
 つり荷を玉掛けし、周囲の状態を確認しながら移動式クレーンを運転する作業を1人の作業者に行わせていた

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 移動式クレーンの定格荷重を超える荷をつり上げないこと
 移動式クレーンを用いて作業を行うときは、作業計画、移動式クレーンの設置場所とその周囲の状況から定格荷重をあらかじめ確認しておき、定格荷重を超える荷をつり上げないようにする。さらに、アウトリガーの張り出しを左右同じにし、移動式クレーンを安定した状態で使用することも重要である。
2 移動式クレーンは資格のある者に運転させること
 移動式クレーンは、その能力(つり上げ荷重)に応じた資格を有する作業者に運転させなければならない。つり上げ荷重が1t以上5t未満の小型移動式クレーンについては、移動式クレーン運転士免許を受けた者または小型移動式クレーン運転技能講習を修了した者に運転させる必要がある。
3 移動式クレーン作業は2人以上の作業者に行わせること
 移動式クレーンによる荷の移動作業では、移動式クレーンを運転する作業者1人、荷の玉掛けとつり荷の確認を行う作業者1人のほか、必要に応じ監視人等を配置し、周囲の安全にも注意しながら作業を行わせる。

フォークリフトを運転中、曲り角で転倒し、運転者が死亡

発生状況

 この災害は、フォークリフトを運転して移動中に発生したものである。
 災害発生当日、職長Aおよび作業者BとCの3人は、工事現場に搬送する大型の掘削機械をトラックに積み込むための作業を資材置き場で行っていた。午前中は掘削機械をトラックの荷台に乗る大きさに解体し、午後、解体した機材を積み込むことにした。しかし、資材置き場に常備されているフォークリフトが他の作業で使用されていたため、敷地内の本社事務所のフォークリフトを借りることになった。
 そこで、AはBにフォークリフトを取りに行くよう指示し、Bは本社事務所でキーが挿入されたままのフォークリフト(最大荷重3t)を運転して資材置き場まで移動中、建物の角で右折したところ、フォークリフトがスリップし、転倒した。Bは運転席から投げ出され、転倒したフォークリフトのヘッドガードの下敷きとなった。Bは病院に搬送されたが、死亡した。
 Bは、フォークリフト運転技能講習を修了しておらず、AもBがフォークリフト運転の資格を持っていないことを知っていた。
 また、転倒したフォークリフトは、毎朝の作業前にエンジンオイルと冷却水を点検していたが、タイヤはすり減っていて溝がなかった。さらに、月例検査、年次検査(特定自主検査)は実施されていなかった。

原因

 この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1 フォークリフトの運転を無資格者に指示したこと
 Aは、Bがフォークリフト運転技能講習を修了していないことを知りながら、Bにフォークリフトの運転を指示した。
2 フォークリフトの点検や整備が適切に実施されていなかったこと
 転倒したフォークリフトを毎朝、作業前に点検していたが、タイヤがすり減っていて溝がないなど整備が適切でなかった。また、月例検査、年次検査(特定自主検査)を実施していなかった。
3 フォークリフトにキーが挿入されたまま誰でも使える状態で置いていたこと

対策

 同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 フォークリフトの運転は、資格者に行わせること
 最大荷重1t以上のフォークリフトの運転は、フォークリフト運転技能講習を修了し、運転に必要な知識、技能を持っている者に行わせる必要がある。また、最大荷重1t未満のフォークリフトの運転は、フォークリフト運転技能講習またはフォークリフト運転特別教育を修了した者に行わせる必要がある。
 事業場では、フォークリフト運転の資格者名簿等を作成し、管理者等関係者に周知するとともに、無資格者の運転は禁止する。
2 フォークリフトについて、月例検査および年次検査(特定自主検査)を実施するとともに、作業前の点検を適切に行うこと、また、点検、検査の結果、異常を認めた場合は、補修整備した後に使用すること
3 フォークリフトは、無資格者が使用できないように管理すること
 運転者がフォークリフトを離れるときは、必ずキーを抜き、確実に保管し、無資格者が運転することのないようにする。

フォークリフトで持ち上げた作業台が転落し、乗っていた2名が被災し1名が死亡

発生状況

 この災害は、Z社の工場建屋の増設工事において、既設フロアと増設フロアを仕切るブルーシートを吊り下げるため、フォークリフトで持ち上げた作業台に乗って作業していた2名の作業者が、作業台とともに転落したものである。
この増設工事は、Z社(発注者)がY社(元請)に発注して工事が進められ、増設フロアの建設工事がほぼ終わった後、既設フロアから増設フロアに生産設備を移設する作業をY社から請け負ったX社が行っていた。
 移設作業の初日、X社の職長Aと同僚の作業者B~Dの4人は、まず、既設フロアと増設フロアを仕切っていたブルーシートを取り外した。その後、既設フロアで生産設備を解体し、これを増設フロアに移動する作業を行った。1日の作業を終えて現場を去ろうとしたとき、Z社の担当者Eから「その日の作業を終えたらブルーシートを元通りにつり下げておくように」との指示があった。そこで、A~Dは、現場付近にあった作業台(パレットの周囲を手すりで囲ったもの)をフォークリフトで持ち上げ、ブルーシートのつり下げ作業を行うことにした。BとCが作業台に搭乗し、Dはフォークリフトの運転を、Aは作業の指揮を行った。
ブルーシートのつり下げ作業を終えて、作業台を降下させたとき、作業台がブルーシートに引っかかったので、Dがフォークリフトを後退したところ、作業台が傾いて落下し、BとCは作業台とともに4mの高さから墜落した。2人は直ちに病院に搬送されたが、Bは間もなく死亡した。
生産設備の移設作業期間中も作業時以外は既設フロアと増設フロアを仕切るブルーシートを吊り下げておくことは、Z社からY社に伝わっていなかった。そのため、Y社がX社に示した計画書にはブルーシートのつり下げ作業は含まれておらず、高所作業用のローリングタワーや高所作業車を用意していなかった。

原因

 この災害の原因としては、次のことが考えられる。
1 発注者(Z社)と元請(Y社)との連絡調整が十分でなかったこと
 生産設備の移設作業期間中も作業時以外は既設フロアと増設フロアを仕切るブルーシートを吊り下げておくことは、発注段階でZ社からY社に伝わっていなかった。さらに移設作業期間中のブルーシートつり下げ作業もZ社の担当者が直接X社の職長に指示したため、Y社はこのことを認識しておらず、Y社がX社に示した計画書にはブルーシートのつり下げ作業は含まれておらず、高所作業に必要なローリングタワーや高所作業車を用意していなかった。
2 高所作業を行うため必要な措置を講じないまま高所作業を行ったこと
 足場を組み立てる、ローリングタワー又は高所作業車を使用する等の措置を講じないまま、作業台をフォークリフトのフォークに載せて持ち上げ、高所作業を行った

対策

 同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。
1 発注者と元請との連絡調整を十分に行い、安全な計画を立て作業を行うこと
 安全な作業計画を立てるためには、発注者と元請が工事開始前に連絡調整を十分に行い、発注者からの伝達事項や要望の漏れがないようにする。また、臨時の作業が発生した場合には、まず発注者と元請が必要な機械・設備を確認し、安全な作業の手順を検討し、これを下請けを含めた関係作業者に周知徹底することが重要である。
2 高所作業を行うため必要な措置を講じた上で高所作業を行わせること
 フォークリフトの乗車席以外の箇所に人を乗せることは原則として禁止されている。足場を組み立てる、ローリングタワー又は高所作業車等を使用するとともに、十分な安定度を確保、作業者に保護帽や安全帯を使用させる等の墜落防止措置を講じた上で高所作業を行わせることが重要である。

切り株の除去作業中、携帯用丸のこ盤で切創を負い死亡

発生状況

 この災害は、プレハブ倉庫新設工事において、敷地を整備するために敷地内の立ち木を伐採する作業を行っている際に発生した。
 作業者Aが所属するZ社は、この工事の2次下請として、倉庫を新設する敷地内の2本の立ち木(いずれも直径約70cm)の伐採と伐採後の敷地の整地の作業を請け負った。
 Z社は災害発生の前日までに、2本の立ち木を伐倒したが、整地のためには切り株を取り除く必要があり、ドラグ・ショベルを用いて地上に引っ張り出そうとしたが、根が地中深く張っていたため不可能ということが分かり、1次下請のY社と打合せを行った結果、切り株を地面の高さ以下まで削った後、その周囲を埋め戻す作業に変更した。
 災害発生当日、Aは、同僚の作業者Bと2人で切り株を削る作業に従事した。この切り株を削る作業は、元々予定されていなかったことから、Z社は必要な道具類を現場に持ち込んでおらず、AとBは、Y社が現場に持ち込んでいた携帯用丸のこ盤、電動ドリルおよびなたを借りて、作業に当たった。
 午前の作業を終了し、昼の休憩の後、取りかかった午後の作業では、Aは携帯用丸のこ盤を使用し、Bはなたを使用して、互いに背を向ける格好で作業していた。しばらくして、Bは、Aの悲鳴を聞き振り返ったところ、Aは切創を負い、出血していた。Aは、直ちに病院に搬送されたが、約2時間後に死亡した。
 災害発生の前日のY社とZ社の打合せでは、切り株を削ることは確認したが、具体的な作業方法は検討していなかった
 また、切り株があった地面は、傾斜しており、切り株の北側と南側とでは約40cmの高低差があり、AおよびBは、不安定な作業姿勢を強いられていた。
 さらに、Z社では作業者に安全衛生教育を実施しておらず、AおよびBは携帯用丸のこ盤の安全な使用方法についての知識が乏しかった。

原因

 この災害の原因として、次のことが考えられる。
1 斜面の切り株を取り除くために、安全な作業方法等を検討せず、携帯用丸のこ盤を用いるという無理のある作業方法を採用したこと
2 立ち木を代採する作業や携帯用丸のこ盤の使用について、作業者に安全衛生教育を行っていなかったこと

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 携帯用丸のこ盤を用いて斜面の切り株を取り除くこと自体無理な作業であるので、他の機械や工具を用いた安全な作業方法を検討すること
2 立ち木を代採する作業や携帯用丸のこ盤の構造、安全な使用方法等について安全衛生教育を行うこと
 作業者に対し、安全衛生教育を行い、携帯用丸のこ盤の構造、安全な使用方法等について周知させるとともに、危険な使用を行なわないよう徹底させる。

フォークリフトとともに廃材焼却ピット内に転落

発生状況

 この災害は、型枠工事を行うZ社の焼却場において、フォークリフトで廃材を焼却ピットに投入する作業中にフォークリフトとともに焼却ピットに転落し、作業者が死亡したものである。
 災害が発生したピットは、建築現場へ搬入する型枠資材の加工の際に発生する屑材や、建築現場より脱型された資材で再利用できない廃材を焼却するためのもので、構造は、地面を深さ2m掘削して表面をコンクリートで固めたものである。
 災害発生当日、作業者Aは、型枠資材の廃材を資材置き場からフォークリフトで運搬し、焼却ピットに投入する作業を行っていた。フォークリフトを投入口前に止め、フォークを揺すってフォークに載せた廃材を焼却ピット内に振り落としていたところ、フォークリフトが前に傾き、フォークリフトとともに焼却ピット内へ転落し、死亡した。
 焼却ピットが作られた当初は、ピットの手前70cmのところに高さ90cmの車止めが設けられていたが、その後、取り外されていた。
 Z社では、焼却ピットに廃材を投入する作業について、作業手順書を作成しておらず、安全衛生教育も実施していなかった。また、作業者がピット手前にフォークリフトを止めてフォークを揺すりながら廃材を投入しているのをZ社の経営者や管理者は日頃目撃していたが、転落防止のための対策を立てることなく黙認していた。

原因

 この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1 焼却ピットの投入口に、フォークリフトが転落することを防止する設備がなかったこと
 焼却ピットが作られた当初は、投入口のピットの手前70cmのところに高さ90cmの車止めが設けられていたが、その後、取り外されたままになっていた。
2 作業手順書がなく、安全衛生教育も行われていなかったこと
 ピットに廃材を投入する作業について、作業手順書を作成しておらず、作業者への安全衛生教育も実施していなかった。
3 安全管理が不十分であったこと
 車止めがない投入口でフォークリフトを止めてフォークを揺するという危ない作業をZ社の経営者や管理者が黙認していた。

対策

 同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 転落するおそれのあるピット等の開口部には、作業者の墜落、転落を防止するための措置を講じること
(1) 開口部に作業者が近づくおそれのある場合には、作業者の墜落、転落を防止するための防護柵等を設置する。
(2) 開口部にフォークリフト等の車両を接近させて作業する場合には、車両が逸走してピットに落ちることを防止するための車止め等を設置する。
2 作業手順書を作成し、安全衛生教育を実施すること
 ピットへの廃材投入作業について、安全に作業を行うための作業手順書を作成する。さらに、作業手順書の内容を作業者に教育し、安全な作業方法を周知徹底する。
3 安全管理を徹底すること
 経営者や管理者による職場巡視を定期的に実施し、設備の不安全な状態や作業者の不安全な行動があった場合には、すぐに適切な措置を講じる。