フォークリフトが走行中に転倒し、運転者が下敷きになる

発生状況

 この災害は、コンクリート打設用の型枠資材置場の敷地内において、フォークリフトが転倒し、運転者が下敷きになったものである。
 事業場は、コンクリートの型枠工事を業とするものであり、宅地造成工事の型枠工事を請け負って作業を行った。
 災害発生当日、小型トラッククレーンで午前9時頃現場に到達した被災者ら3名の作業者は数日前から始めた工事現場の型枠解体作業を開始した。
 午後3時頃、解体作業は終了したので、ベニヤなどの残材の一部をトラッククレーンの荷台に積み込み、会社の資材置場に持ち帰った。
 トラッククレーンを入り口近くに止めた被害者は、ヘッドガード付きフォークリフト(最大積載荷重2t 前進走行最高速度19km/h)を使用して、荷卸しを行った。
 フォークの爪の部分を使用して荷を卸し、フォークリフトを走行させて少し離れた置き場まで運ぶ作業を4~5回行って作業を終えた後、駐車場に向かった。かなり早い速度で走行していたが、駐車場の手前でブレーキをかけながら右にハンドルを切ったとき、フォークリフトが転倒した。
 被災者は、頭部をフォークリフトのヘッドガードを支える鉄枠とコンクリート路面との間に挟まれた。
 なお、被災者はフォークリフトの運転については無資格であった。

原因

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 フォークリフトの運転を無資格者が行ったこと。
 最大積載荷重1t 以上のフォークリフトをフォ-クリフト運転技能講習修了者でない者が運転した。
2 フォークリフトのキーの保管管理がなされなかったこと。
 キーが差しっぱなしになっており、フォークリフトの運転が無資格者でも自由にできる状況にあった。
3 特定自主検査等点検整備が行われていないフォークリフトが使用されていたこと。
 全輪ともに磨耗限界を大幅に超えたタイヤが装着されていたため、コーナー部の旋回時にスリップしハンドルをとられ転倒した。
4 曲り角付近にもかかわらず、フォークリフトを前進走行最高速度近くの速度で運転したこと。
5 安全管理が行われていなかったこと。
 安全作業基準が作成されておらず、作業者の安全教育も不十分であった。

対策

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 作業計画を作成し、関係作業者全員に徹底すること。
 作業計画を変更する場合には、フォークリフトの運転等資格を有する作業については、特に誰が行うかを明確にして関係作業者に指示することが重要である。
2 フォークリフトのキーを厳重に管理すること。
 運転無資格者が絶対に運転できないように、キーは、鍵の掛かった保管庫に保管する等責任者が管理する必要がある。
3 特定自主検査等点検整備を確実に行うこと。
 特定自主検査は毎年定期的に行うとともに、作業前点検及び月次検査を確実に行う必要がある。検査の結果、タイヤの摩耗等による不良箇所については、遅滞なく修復しなければならない。
4 最大積載荷重1t 以上のフォークリフトの運転は運転技能講習修了者が行うこと。
5 安全管理体制を整備確立して、安全管理を徹底すること。

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