型枠上に鉄筋を仮置き作業中、型枠が倒壊

発生状況

 この災害は、鉄筋コンクリ-ト造の事務所新築工事現場において型枠が倒壊し、作業員3名が被災したものである。
 当日、この工事現場では、2階床の型枠建て込み作業、1階の型枠解体作業、2階への鉄筋荷上げ作業、2 階の配筋作業等が行われており、現場には元請の職員6名と、一次下請および二次下請から鉄筋工等23名の作業員が入場していた。
 朝の打合せ後作業が開始され、被災者達は、まず2階の床に配筋するための鉄筋約20トンを現場に設置されたタワ-クレ-ンを用いて、トラックから2階床に上げる作業にとりかかった。
 まず、トラックで搬入された鉄筋のうち約4 トン分を2階床の型枠上の何か所かに分けて荷上げし、次いで約4 トンの鉄筋を2階中央部分の何か所かに分けて荷降ろしを行った。
 続いて、トラックに残っていた約2 トンの鉄筋を型枠の中央部分に降ろそうとしたところ、突然中央部分の2階床の型枠が倒壊した。
 このため、荷外しをしていた3名のうち2名が鉄筋および型枠材とともに1階スラブ上に落ち、また、1階で型枠の解体作業の打ち合わせをしていたとび工の2名のうち1名が落ちてきた鉄筋、型枠材などに当たり負傷した。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 型枠支保工の組立てが終了していないのに重量物を仮置きしたこと
2 関係作業者同士の連絡を十分に行なわずに作業を進めていたこと

対策

 この災害は、鉄筋コンクリ-ト造の事務所新築工事現場において型枠が倒壊し、作業員3名が被災したものであるが、その対策としては次のことが考えられる。
1 鉄筋等の重量物を仮置きするときには、型枠支保工等の強度を確認すること
2 関係作業間の連絡調整を十分に行ったうえで、作業を開始すること
3 ノンサポ-ト工法についての検討と安全教育を実施すること

旋回したドラグ・ショベルと煙突との間に挟まれる

発生状況

 この災害は、ゴミ焼却施設の建設工事現場において型枠部材の運搬中に煙突とドラグ・ショベルとの間に挟まれて発生したものである。
 災害発生当日、ケーブル用配管の埋設工事と電気ケーブルの接続中継点となるマンホールの据付工事を請負った4 次下請の会社に所属する被災者は、土工作業員として他の3 名の作業者とともにドラグ・ショベルによる掘削作業に従事していた。
 被災者が、掘削箇所のならし作業を行っていたところ、近くで作業をしていた同僚の型枠工から「型枠に使用する木片を取ってきてくれ」と依頼されたので、ゴミ処理施設の煙突の近くにある木片を取りに行き、それを持って現場に戻るためにドラグ・ショベルと煙突との間を通り抜けようとした時、ドラグ・ショベルが旋回してきたため、被災者はドラグ・ショベルと煙突との間に挟まれ死亡した。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 車両系建設機械の稼働範囲で危険な区域への立入り禁止措置を行っていなかったこと
2 安全通路脇にセメント袋を積んだことにより、通路として利用しにくくなっていたこと
3 危険予知訓練(KYT) 等安全教育が不十分であったこと

対策

 この災害は、ゴミ焼却施設の建設工事現場において型枠部材の運搬中に煙突とドラグ・ショベルの間に挟まれたものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。
1 車両系建設機械が運行する場所等については、立入禁止の措置を徹底すること
2 建設機械との接触防止等に関する安全教育を徹底すること
3 安全通路を確保し、そこを通行するよう徹底すること
4 危険予知訓練(KYT) 等安全教育を実施すること
5 作業計画を作成し、これに基づき作業を行わせること

換気口内地下ピットに溜まった雨水を内燃機関付ポンプで廃水作業中、一酸化炭素中毒

発生状況

 この災害は、ピットに溜まった雨水の排水作業中に、使用したガソリンエンジン付ポンプの排気ガスにより一酸化炭素中毒が発生したものである。
 当日の作業は、ドライエリアと呼ばれる地下換気口内のピットに溜まっていた雨水をガソリンエンジン付ポンプで屋外に排水するものであった。このドライエリアは、開口部は縦約5m、横約2m、深さ約9.5m、地下約4.5mのところに平らな中段があり、その下に更に開口部縦約0.6m横約0.9mの入口を持った最下層の空洞部分、いわゆるピットにつながっている。
 Aは同僚と二人で、午前8時半頃からドライエリア内の型枠片付け及びピット内の雨水の排水作業を行うこととなった。まず、雨水を排水するためドライエリア内に持ち込まれていたガソリンエンジン付ポンプで作業を開始した。ところが、雨水が思ったよりも多いため、もう一台をピット内に持ち込んで作業を行うことになり、同僚を他のベテラン作業員Bと交代させて、AとBは10時半に作業を開始した。
 その後、昼食時になっても2人が事務所に戻らないため、同僚のCがドライエリア内を探したところA及びBは、深さ約9.5mの最下層ピットで倒れていた。そこでCは、近くにいた作業員に声をかけ、7人で救出作業を行ったが、次々と全員が具合が悪くなった。

原因

 この災害の原因としては次のようなことが考えられる。
1 ドライエリア内が十分な広さでないにもかかわらず、作業能率だけを考えて排水ポンプを一台から二台に増設して作業を行ったこと
2 非常に狭いピット内に、ガソリンエンジン付ポンプを持ち込んで作業を行ったこと
3 換気装置を設置するなどピット内の換気をしないで、ガソリンエンジン付ポンプを使用したこと
4 作業開始前に、酸素濃度測定が行われていなかったこと
5 作業者に対して、当日の作業を考えた安全教育が実施されていなかったこと
6 救助方法等に対する対策が、全く行われていなかったこと
7 朝礼がマンネリ化していて、十分な危険予知が行われていなかったこと
8 作業方法の変更についての指示系統が、はっきりしていなかったこと
9 作業員の交替を行ったにもかかわらず、この作業員に対して安全作業について指示を行っていなかったこと

対策

 この災害は、新築工事現場内の換気口内ピットの排水作業中、使用したガソリンエンジン付ポンプによる一酸化炭素中毒により災害が発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要と考えられる。
1 自然換気が不十分な場所においては、ガソリンエンジン付ポンプを使用せず、電気による水中ポンプを使用すること。
2 ガソリンエンジン付ポンプはレンタルであったが、作業方法を検討してポンプの種類を選定すること。
 ガソリンエンジン付ポンプは、自吹式エンジンポンプ(最大揚程34m、最大揚水量550l/min、所要動力3.5ps/3600rpm)であった。
3 やむを得ず、内燃機関付ポンプを使用する場合は、送風機等により内部の換気を十分行うこと。
4 作業指示は、事前に作業計画を立て、具体的な作業指示をすること。
5 作業者に対する安全衛生教育を実施し、作業における危険認識・安全意識の高揚を図ること。
6 作業員の判断で作業方法を変更する場合は、届出を行わせること。
7 ピット内等狭い場所は、酸素濃度測定など酸素欠乏症対策を行うこと。