ひも掛けしていない型枠の荷崩れによりトラックの荷台から転落

発生状況

本災害は、被災者等が、幼稚園新築工事現場において、解体した門型足場枠38個(約550kg)を2トントラックの荷台の前方に立てかけるようにして積み、被災者が荷台に乗って足場枠を後ろから支え、トラックを走行させたところ、荷崩れし、被災者が道路に転落し被災したものである。
 災害発生当日、被災者らにより、外部足場(張り出し足場、照明用足場)の撤去、片付け、コンクリートはつり等の作業が行われた。照明用足場は、夜間作業用に躯体を3箇所から照らす照明の設置用のもので、躯体回りの作業用足場とは別に現場敷地内の3ヵ所に枠組足場を5層から7層組んだものであった。3ヵ所の照明用足場は当日午前中より解体され、解体された足場の部材はそれぞれの足場があった付近に置かれた。解体された照明用足場の部材は、資材置き場に持っていくことになっており、この運搬作業中に本件災害が発生したものである。
 解体された照明用足場の部材の運搬作業は、被災者ら3名によって行われた。解体された照明用足場の部材は現場内の3ヵ所に置かれていたが、まず、当該現場の広場の奥に置かれていた部材を運ぶため、作業者Bが現場内に停めてあった空の2トンダンプトラックを広場の奥まで運転して移動させ、他の作業者Cと被災者Aの3名で部材(門型足場鋼管枠(約20から30個)とその筋交い)を当該トラックに積み込んだ。その際、門型枠を荷台の中心に運転席側に立て掛けて積み、筋交いは門型枠の両側に寝かせて積んだ。次に、当該広場の入り口付近に置かれていた部材を積み込むため、作業員Bが当該トラックを広場の入り口まで約20メートル運転して移動させた。移動の際は被災者Aが当該トラックの荷台に乗り、立て掛けて積んだ門型枠を後方より支えながら移動した。このとき、門型枠はロープ等で固定されておらず、荷台後部のあおりは開いた状態であった。荷台両側のあおりは閉じてあった。また、当該広場は平担であった。入り口付近に置かれていた部材を同じ3名で前記と同様に当該トラックに積み込んだ。この時点で積み込んだ部材の合計は、門型枠38個、筋交い36組と1本となった。
 次に、当該現場内の北西側付近に置かれていた部材を積み込むため、Bは当該トラックを移動しようとしたが、現場の広場から北西側までの間には仮設物があり、現場内を通って北西側までトラックを移動させることはできない状態であったため、当該現場の北側の道路を回って北西側付近まで行くこととした。このため、現場内広場の東側から現場に面した道路に出て左折し、T字路にさしかかり道路標示の一時停止線で一旦停止した。道路に出てから一時停止線の約10m付近までの道路は平担であるが、一時停止線付近は約8.5%の上り勾配である。この移動の際も前記と同様の状態で移動していた。Bが当該トラックを一旦停止後T字路を左折しようと再発進した直後、荷台の方から「ガシャッ」というような金属音がしたのですぐトラックを止めトラックの後方に行ってみると、Aはトラックのすぐ後方の道路上に仰向けに倒れており意識のない様子であった。積んでいた門型枠は後方に倒れ一部は荷台から落ちかかった状態になっており、荷台の後部のあおりは開いた状態のままであった。荷掛け用のロープは当該トラックの助手席に置いたままであった。Aは、約2週間後に死亡した。
 なお、災害発生当日の朝の打ち合わせでは、現場代理人等から運搬方法について特段の指示はなかったが、当該運搬作業については現場代理人も承知していたものである。

原因

1 トラックの荷台に作業者を乗せて走行させたこと。
2 ロープ掛け等、荷の移動防止措置を講じていなかったこと。
3 荷台の後部あおりを開いたままトラックを走行させたこと。
4 安全管理体制が不明確で、作業者まかせとなっており、現場代理人等による安全面に配慮した作業指示がなされていないこと。

対策

1 トラックの荷台に作業者を乗せて走行させないこと。
2 トラックに荷を積む際に、荷の重量、バランスを考慮した積載方法をとり、かつ荷の移動防止措置を確実に行うこと。
3 トラックを走行させる際は必ずあおりを閉じること。
4 明確な安全管理体制を作り、各安全管理担当者は安全面に十分配慮した作業指示を確実に配下の者に伝えること。
5 前記1から3について作業標準等を作成の上、作業者に安全教育を行うこと。

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