玉掛け作業中にドラグ・ショベルが転落し、作業者を直撃

発生状況

本災害は、ホテル新築工事における測量において、測定のためのポイント上に敷いてあった工事用鉄板を移動させるため、ドラグ・ショベルによりつり上げ旋回したところ、ドラグ・ショベルのバランスが崩れ転倒し、玉掛け作業を行っていた作業者を直撃したものである。
 災害が発生した工事は、建物の新築工事に伴う外溝工事であり、事故当日は、フェンスを張るための土台となるコンクリートの型枠作業、コンクリートミキサー車を現場へ導き入れるための整地作業および測量作業であった。
 型枠作業に2名、小型ドラグ・ショベル(バケット容量0.25m3)を使用した整地作業に2名、そして測量作業に2名の計6名が作業を行っていた。
 整地作業および測量作業はそれぞれ別々に移動しながら行われていた。
 建物東側付近の水路について測量しようとしたところ、測量ポイントの一つが現場に入る車両運行のために敷設されていた重量1.4トンの大きい鉄板の下になっていた。
 このため測量用の杭を地面に打ち付けられず困っていたところ、整地作業が一段落し、所定の置き場に戻すために小型のドラグ・ショベルが移動してきた。
 測量を行っていた現場責任者は、ドラグ・ショベルを運転していた者と相談し、鉄板を小型ドラグ・ショベルでつり上げて移動させることになった。
 杭を打つためには敷設してある鉄板の5枚を移動させる必要があり、現場責任者が玉掛けの指示を行い、その指示により1人がドラグ・ショベルを運転し、整地作業の補助を行っていた者がワイヤーロープで玉掛けを行った。もう1人の測量を行っていた者は、少し離れたところで測量の準備をしていた。
 1枚ずつ3枚移動したところで、玉掛けの指示を行っていた現場責任者は、作業を見ていなくても大丈夫だと判断し、測量の準備にとりかかった。
 その直後、4枚目の鉄板をつり上げ旋回させたところ、ドラグ・ショベルはバランスを崩し、80cm下の水路の脇の整地した通路に倒れ込んだ。その時ドラグ・ショベルの倒れ込んだ場所で玉掛けを行っていた者が、ドラグ・ショベルの下敷きになった。

原因

(1) 鉄板を移動させなければならないという当初予定にない作業の必要性が発生したにもかかわらず、その作業の打合せ等を行わず十分な安全確保を行わなかったこと。
(2) ドラグ・ショベルを用途外の荷のつり上げ作業に使用したこと。
(3) 荷の重量に比し、ドラグ・ショベルの能力、安定度が不十分であったこと。
(4) 玉掛けが終了したにもかかわらず、作業範囲外に退避させていなかったこと。

対策

(1) 荷をつり上げて移動させるには移動式クレーン等を使用し、ドラグ・ショベル等の車両系建設機械による用途外使用は行わないこと。
(2) 移動式クレーン等が使用できない等でドラグ・ショベル等の車両系建設機械を使用し荷をつり上げることがやむを得ない場合には、荷の重量、旋回によるモーメントを考慮し、荷をつり上げ旋回させることで転倒することがないよう使用すること。
(3) 打ち合わせ等と異なる事態が発生した場合は、元請等関係者に連絡し、改めて協議し、十分な安全確認をした上で作業を行うこと。
(4) 作業範囲内には作業者を立ち入らせないこと。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です