交流アーク溶接機にて溶接中の感電事故

発生状況

本件災害は、交流アーク溶接機で溶接中、溶接棒ホルダー絶縁覆いが破損していたため、露出した充電部分から感電、死亡したものである。
 被災者の所属する事業場は、機械等製造工場の増築工事において、工場内の床面に製造用機械を据え付けるための溝やピットの基礎を築造する工事のうち、床溝やピットの枠に取り付けるL字鋼を所定の寸法に切断し、アーク溶接で取り付ける工事を請負う2次下請の事業場であった。
 災害発生当日午後、被災者は元請事業場Aの作業指揮のもとで、型枠のセパレーターと鉄筋とを溶接するため、鉄筋と型枠との間(45cm)に入り、アーク溶接を始めたが、作業場所が狭い箇所であったため、常に右肩を鉄筋に押し付けたまま、かがんだ姿勢で溶接作業を行っていたところ、使用していた溶接棒ホルダーの絶縁部が破損し、充電部分が露出していたため、感電し死亡したものである。
 なお、被災者が使用していた交流アーク溶接機は自動電撃防止装置が付いておらず、また、災害発生当日の屋内作業現場は気温34℃、湿度80%とたいへん蒸し暑く、被災者の作業衣は汗でかなりぬれて電気が流れやすい状態にあった。

原因

[1] 溶接棒ホルダーの絶縁覆いが破損し、充電部分が露出していたこと。
[2] 鉄筋のような導電体で囲まれた狭あいな箇所で使用する交流アーク溶接機に自動電撃防止装置を使用していなかったこと。
[3] 作業場所がたいへん蒸し暑く、作業衣が汗でかなりぬれていて電気が流れやすい状態にあったこと。

対策

[1] 溶接棒ホルダーには、必ず絶縁覆いを使用すること。また、使用開始前にはその絶縁覆いを点検し、問題がある場合には直ちに補修し、または取り換えること。
[2] 鉄筋のような導電体で囲まれた狭あいな箇所で交流アーク溶接機で溶接作業を行う際は、自動電撃防止装置を使用させること。
[3] アーク溶接を行う作業者の作業衣が汗でぬれた場合、別の作業衣に着替えさせる等、電流が流れやすい状態にしておかないこと。
[4] アーク溶接作業に従事する者には、法令に基づく特別教育等安全教育を十分に行うこと。

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